早朝、騒動、テントにて

私、賞金稼ぎのメイル。
自称「美少女剣士」だけど、本当のことだからしょうがない。
別に当時大人気だった某セーラー服戦士アニメのパクリじゃないわよ。
私の方が先だったんだから。

私は、私にとーーーーーっても借りのある、 でもなかなかの腕前の魔法使い、タットと一緒にテントを張っていた。 「あー、今日も野宿か〜」 「仕方ないよ、メイルが難しい賞金首ばかり探すんだもの。 結局捕まえられなくて、お金がないんだから」 正論で説教してるのか嫌味を言ってるのか分からないけど、 タットは黙々とテントを組み立てていく。 洞窟で仲間になった、非常食もとい、怪獣のガウは、 口から火を吐いて焚火の準備だ。 「まあ、食事は事欠かないんだから、 あんまり贅沢しないでさ、もっと自分たちに見合った・・・・・・」 「あー、ハイハイ。分かった、分かったからさ、 今日はもう夕ご飯食べて寝ちゃいましょうよ。 歩き通しでもうくたくたなのよ」 歩き通しで自慢の美脚が台無しになってしまう前に、 そして何より都合の悪いことは聞きたくないから、 私たちはさっさと夕飯を食べて、それぞれ寝袋に潜った。

早朝。 テントが軋むような音がして目を覚ました。 ふと両隣を見ると、ガウは鼻ちょうちんを出しながら夢の中。 でもタットが、いない。 トイレにでも行ったのだろうと思い、 もう一度夢の中へ戻ろうと、私も目をつぶる。

ギシ、ミシ・・・・・・。

・・・・・うるさい。 相変わらずタットは戻ってこないし、誰? この辺にモンスターや賞金首、 それに山賊なんかが出るなんて聞いたことはないし、 人が住んでいる村や町があるわけでもない。 本当に誰なのよ。

こんな、まだ夜だか朝だか区別のつかない時間に、 私の貴重な体力回復と現実逃避の睡眠を邪魔してくるバカは。 私は、段々イライラして、眠っている間に消化されたのであろう、 空腹になってきている胃のあたりが、熱くムカムカしてくるのが分かった。 これは胸やけなんかじゃない。天下のメイル様が、胸やけなんか起こさない。

これは、怒り、睡眠時間を邪魔されていることへの怒り。 眠気も手伝って、怒りは徐々に増大していく。

そういえば、まだタットは帰ってこない。 もしかして、これってタットなんじゃないの? だとしたら何?高い賞金首ばっかり追いかけて、 ことごとくお金と賞金首を逃している私へのあてつけ? ひょっとして、いつもは寝てるから気が付かないけど、 普段から私にこんなことして憂さ晴らししてるわけ?
「・・・・・あー、もう・・・」 寝袋から出て、私は軋む方へと立ち上がる。 寝起きで少しくらくらしてるけど、そんなことはもうどうだっていい。 「いい加減に!しなさいよ!!」 メイルスペシャルキーーーーーーーーーーーーーーーック!! テント越しに、私のスペシャルキックをお見舞いしてやった。 手ごたえは抜群、俗にいうクリティカルヒット。 ゴォ! その直後、これまたテント越しに赤く光った。 「グギャーーーーーーーーーー!」 何者かの断末魔が聞こえて、そして静かになった。 もう軋む音もしない。 「メイル!大丈夫かい!?」 タットがテントに入ってきた。 「え?今の光、何?」 私は、メイルスペシャルキックで負傷してるはずのタットが、 傷一つない元気な姿でテントに入ってくるのを見て、 なんだか寝ぼけていた頭が、少しずつ覚醒してきた。 「僕がトイレに行って、それから帰りに木の実を見つけたから、 朝食用にと思って取って帰ってきたら、テントにモンスターが接近してたんだ だから、簡単なファイアの魔法でひるまそうとしたら、メイルのキックでモンスターが・・・・・・」 え?モンスター? 慌ててテントから出ると、確かにモンスターが目を回して焦げ焦げになって倒れている。 「あ、あーそっか、そういうこと」 静かに私はそうつぶやいた。

翌朝近くの村に行くと、 あのモンスターはいたずらして住民を困らせていたヤツだったと判明。 村で少しだけど、と本当に少しの謝礼金をもらって、

私たちはまた旅に出ることにした。

「ねえメイル、やっぱり君はすごいよ、あんなにタイミングよく蹴りを入れるんだもの」 もともと純粋そうな深い青い目をきらきらさせながら、タットは私を褒めてくれる。 「そうだガウ。オイラは寝ててよく分からなかったけど、 二人ともタイミングばっちりだったみたいガウ」 「そ、そりゃあ私は美少女剣士ですもの、あれぐらい朝飯前なのよ!」 少しわざとらしく高笑いして胸を張って見せる。 それを見てタットとガウも楽しそうに笑った。 いけない。本当のことは言ってはいけない。 言ってしまったら、確実に笑顔から怒りへと変わってしまって、

どれだけ怒られるか分かったものじゃない。 自分の中の何かをごまかすように、 二人の笑顔に合わせて、私もひたすら笑顔を作った。


お久しぶりでございます。 今回はSS。 この世には、もっとぽっぷるメイルの二次創作が増えてもいいんじゃないかと思うので、 実験的に作ってみました。 元ネタ提供してくださった同盟の皆様、ありがとうございました。

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Last-modified: 2014-02-25 (火) 17:59:41 (1638d)